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CEOの観点

一夜にして大きな話題を呼んだ ChatGPT から見る、​​テクノロジー産業におけるビジネスモデルの発展と変遷

多くの人がテクノロジー業界の世界的巨頭は技術的なブレイクスルーとその成果のオープンソース化を通じて新しいビジネス価値を継続的に生み出していると考えていますが、この見方は部分的にしか正しくありません。彼らが巨大な価値を生み出し続けることができる理由は、技術だけでなくネットワーク外部性 (network externality、もしくはネットワーク効果 network effectとも呼ばれる) と限界収益の増加 (increasing marginal revenue) という経済原理にあります。 「ネットワーク外部性」は、デジタル経済の台頭以来、業界内に浸透してきた概念です。簡単に言えば、少数のテクノロジー企業がユーザー規模とサービスのエントリーポイントを掌握することで、多くの人がそのサービスを使用しサービスの価値を向上させていく好循環を形成することで、わずかな改善により巨大な新しいビジネス価値を生み出すことができることを意味します。ピーター・ティールは、彼の書籍「ゼロ・トゥ・ワン」で、デジタルプロダクトにおけるネットワーク外部性の重要性を強調しています。 例えば Facebook や Google がコンピュータービジョンテクノロジーの認識率 1% の改善を行った場合に10億ドル以上、さらには 100億ドルもの新たな広告価値をもたらす可能性があることを想像してみてください。通常のスタートアップ企業が同じ改善率で技術の向上をしていたとしたらどうでしょうか?巨大な広告基盤と規模の経済はスタートアップ側ではなく業界巨頭の手中にあるため、もたらすことのできる価値は非常に限られています。 「限界収益の増加」は、知識経済において固有の現象であり、知識に依存する経済では知識や技術の投入量が増加すると生産量が増加し、生産者の収益も増加していく傾向のことを意味します。対照的に伝統的な農業経済と工業経済はどちらも物的資源に依存する経済であり、これには明確な排他的特性があります。その価値は、特定の瞬間に1人のユーザーしか使用できず、さらに物的資源には限りがあり、使うたびに消費され使用量が増えるほどコストが高くなり、最終的には生産者の利益の減少につながります。 対照的に知的資源は共有され、同じ知的資源を複数の人が同時に保有し使用することができ、且つ使用されるのみで消費されることはなく、さらには使用過程で新しい資源が生成されていきます。 情報資源や知的資源の利用はまだまだ蓄積と発展の段階であり、繰り返し利用することでコストが下がり収益が増えていきます。 ではテクノロジー業界の巨頭が最先端テクノロジーを無条件でオープンソース化し続けているのはなぜでしょうか?それはオープンソースコードが、彼らの競争上の中核となる優位性ではなく、「ネットワーク効果」と「限界収益の増大」こそが真の競争上の優位性となるからです。 これらのコードをオープンソース化する目的は、既存のネットワーク外部性を活用し、より大きなユーザーベースを形成することです。 TensorFlow や PyTorch のようなフレームワークを開発する新興企業は、それを知的財産として慎重に保護しコア資産と見なし、そこから直接利益を得ようとすることさえあります。しかしテクノロジー業界の巨頭、Google にとって、TensorFlow と PyTorch は他のすべての製品と同様に優れた技術革新ではありますが、その核心的目的は他の製品のネットワーク効果を拡大することであり、2つのビジネスロジックは性質がまったく異なります。 この2つの効果が組み合わさることで、デジタル経済において「強きものがより強くなっていく」現象を生み出し、テクノロジーの巨頭は優秀な人材を吸収し、新しいテクノロジーと新しい知識に投資をし続けることができます。ハーバードビジネススクールの学者もこの経済現象を hub economy (ハブエコノミー) という言葉で表し、ユーザーとサービスのエントリーポイントを掌握する限り、競争上の大きな優位性を得ることを示しています。 しかし、ChatGPT が出現しこの競争上の優位性は突然揺らぎました。 2022年11月以前は OpenAI などの非営利団体がディープラーニングでこれほどの成功を収めることは全くの予想外でした。​​Microsoft の投資による資金獲得により、OpenAI は ChatGPT の技術を高め、その結果として一夜にして大きな話題を呼ぶに至りました。その応用技術はさまざまな分野に急速に拡大する可能性があり、テクノロジー業界大手のコアビジネスモデルにも大きな影響を与える可能性があります。 もちろん、テクノロジーの巨頭は依然として強力な製品チャネルとネットワーク効果を持っており、これを強化し ChatGPT のもたらす脅威に対抗するため、ChatGPT と同等の技術を各製品に積極的に展開しているはずですが、 テクノロジーの巨頭は今後も高度な AI テクノロジーを競合他社と共有し続けるべきでしょうか?業界はこの潜在的な問題に気付き始めた可能性があり、これは技術的な課題や高尚な普遍的価値の問題ではなく、基本的なビジネス上の問題です。 一方で一部の新興企業はGPT-3でビジネスモデルを直接構築しており、その意思決定や行動は非常に速いと見なされています。しかし、OpenAIが突如としてGPT-3.5をベースにしたChatGPTを公開。さらに、GPT-4 が間もなく登場するという噂もあり、ビジネスモデル全体を […]

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iKala社員ストーリー

【iKala 社員ストーリー】土屋隆司(Tsuchiya Ryuji)—— iKala Japan カントリーマネージャー

「iKala 社員ストーリー」の記事では、さまざまな立場の iKala メンバーが、自身の経験やそれに基づく信念、また iKala の仕事への思いなど、普段聞くことができないストーリーを共有しています。 iKala Japan カントリーマネージャー 土屋隆司 (Tsuchiya Ryuji) 「私の任務は次の世代を育てると共に、 iKala を日本市場に認められる企業にすること。」 iKala入社前は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ワーナー・ブラザース、コカ・コーラなどの大手外資系企業に勤めてきました。iKalaは私にとって初めてのスタートアップ且つ、初めての台湾企業となります。今日は、これまでの経験に基づく仕事をする上での信念や、iKalaに入社するきっかけを話していきます。 日本の文化の下で 日本はビジネス、プライベートを問わず「信頼」を非常に重視する傾向にあります。そのため仕事上のコミュニケーション、また家族間などにおいても相手への「尊敬」と「誠実」さを持ち続けることを最も大切にしており、これが「信頼」の源であると考えています。相手の年齢や立場を問わず、同じ態度と基準を保つよう常に心がけています。 「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、日本では職場において能力や個性が優れている人ほど打たれやすく、結果として有能な人がパフォーマンスを発揮できない状況に陥りがちだと思います。 しかしこれは私の理想とは相反するもので、私は有能で優れた人材がその能力を最大限に発揮できる職場、言わば「出る杭は伸ばす」環境を作ることを大切にしています。 この環境の下、これまでの経験を活かし次の世代の育成にも力を入れたいと考えており、これらはiKalaで成し遂げることができると信じています! 台湾スタートアップへの挑戦 iKalaを知ったきっかけはエージェントからの紹介。 紹介を受けた当初、iKalaを全く知らなかったので、最初はお誘いを断りました(笑)。しかしさまざまな情報を収集する過程で、現在世界の企業が直面している「Cookieless化」の問題は iKala KOL Radar や iKala CDP を活用することで解決もしくは状況の改善に役立つのではないかと思いました。 さらに iKala メンバーとの面談の中で、チーム内の上下関係がなく、スタートアップらしい開放的な雰囲気で、コミュニケーションのし易さを感じました。またCEOのセガの決して自己主張が強いわけではなく、温和且つ謙虚で、他の人の話をよく聞く、その人柄にも魅力を感じました。 私はこのメンバーと一緒に仕事をしたいと思いiKalaへの入社を決意しました。   今こうして iKala のメンバーと一緒に仕事ができることを誇りに思います。日本オフィスでは台湾人スタッフも一緒に業務を行っていますが、皆日本での就業経験を持っており、大きな文化の違いなどは感じたとこがありません。 もちろん、台湾企業である iKala は日本企業との運営上の違いなどがありますが、継続的なコミュニケーションを通じてこれらは調整できるものと考えています。 また、将来的にもし機会があれば中国語も学び、語学力のさらなる向上を目指したいとも思います。 iKala Japan のカントリーマネージャーとして、事業拡大にエネルギーを注入し、新たなビジネスチャンスを iKala にもたらしたいと思っています。 前述したように、日本は信頼を重んじる文化でビジネスにおいても同様の習慣があり、日本企業は特に初めての相手とのビジネスに慎重になります。 そのためこの慎重さに応えながら iKala を拡めて行くことが大切であると考えています。私は過去の経験から「エージェンシー/クライアントサービス」の強み・弱みに精通しており、これをバランスよくコミュニケーションへ反映していくことで日本企業との信頼構築に努めたいと思っています。 iKala が日本企業から信頼されるブランドになるよう努力し、iKala の製品とサービスを日本市場に広めることで日本企業の海外進出や事業拡大を支援していきます! […]